教えて!ドクター

第3回 ●効果がわかりにくくても治療や適切な食事・運動習慣を心がける。そして骨折を防ぎ、健康に生きていくために。

原宿リハビリテーション病院 名誉院長 林 𣳾史先生

──日常生活の上では適切な食事と運動が大切とお聞きしますが、具体的にはどのようなことを心がければよいのでしょうか。

患者さんによって違ってきますが、毎日バランスのよい食事を心がけ、骨の形成に不可欠であるカルシウムなどを摂取しましょう。また、食事に含まれたカルシウムを小腸から吸収促進するために不可欠なビタミンDは太陽の紫外線を浴びることで皮膚でも合成されますから日光浴もお勧めします。紫外線の弱い地域でも冬場なら30分、その他の地域ではほんの10分程度の日差しを浴びるだけで、1日に必要なビタミンDが作られます。必ずしも全身に日光を浴びる必要はなく指1本でもよいのですよ。

教えて!ドクター第3回

──サプリメントなどを活用されている方も多いと思います。

それも効率的な摂取方法だと思いますが、その前に服用されているお薬との関係もありますから、まずは医師に相談することが大切です。それから運動についてですが、患者さん個々の身体の状況などもありますから、やはりまずは医師に相談して方針や運動メニューを決めていただきたいですね。

──いずれもご自身の体と相談してということでしょうか。自然体で過ごしながら健康的で適度な食事、運動などを生活習慣の中に取り入れていくと。

その通りです。ただ、骨粗鬆症が進行してしまうと、食事、運動だけでは不十分で、加えて治療が必要になります。

──骨粗鬆症で骨折をおこさないために、患者さんにメッセージをお願いします。

以前のリハビリ病院では脳卒中による麻痺でリハビリが必要な患者さんが7割、骨折でリハビリが必要な患者さんが3割でしたが、現在はその比率が逆転しています。それだけ長生きをして骨折をしてしまう患者さんが多いわけです。ですから骨折をしないための日常生活の見直しや骨粗鬆症の治療が必要なのです。
骨折が予防できれば、健康に過ごす時間が増えます。転んで骨折するのが怖いから家に閉じこもるというのは間違いです。積極的に筋肉を使っていきましょう。大切なのは外に出て社会や人とのつながりを持つこと。そこで活動的に過ごすことを通して、ぜひご自身の生きがいを発見し、それを実現していただきたいですね。私は骨粗鬆症による骨折を予防することは、生きがい実現のために大きな推進力になると考えています。

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