骨粗鬆症Q&A 原宿リハビリテーション病院 名誉院長 林 泰史 先生

検査について

症状はないのですが、健康診断の骨粗鬆症検診で「要精検」でした 自分では健康だと思っていても骨折のリスクがありますので、早めに治療を受ける方が良いでしょう。

背景
(東京都:52歳女性)勤務先の健康診断で骨粗鬆症検診を受けたところ「要精検」と判定され、精密検査の結果、骨粗鬆症と診断されました。今のところ、腰が曲がったり痛みがあるわけではなく、いたって健康ですが、日常生活で気をつける以外に治療を受ける必要がありますか。また、骨粗鬆症の治療にはどのような方法があるのでしょうか。

市町村や職場などで骨粗鬆症検診を受けると、「正常」、「要指導」、「要精検」のいずれかと判定され、その場で骨粗鬆症と診断されたり、治療を開始するよう言われたりすることはありません。検診は、骨粗鬆症の疑いがある「要検査」の人に医療機関への受診を勧めたり、骨量の少ない「要指導」の人に日常生活の改善を促すなど骨量の多さから助言や指導が行われます。検査で「要精検」と判定された場合は、医療機関で詳しく診てもらいましょう

検査の結果、背中や腰に痛みがなく、背中や腰の変形もないのに骨粗鬆症と診断されることがあります。腰のレントゲン検査や骨密度測定などの精密検査では、背中や腰の骨が潰れていたり、骨梁(こつりょう:骨の中を走る細い骨の線維)が少なくなっていたり、若い人に比べて骨量が30%以上減っていますと、骨粗鬆症と診断されます。
検査について

骨粗鬆症と診断された場合は自分では健康だと思っていても骨折のリスクがありますので、早めに治療を受ける方が良いでしょう。閉経期の人であればカルシウムを十分に摂る、日光を浴びる、よく体を動かす、時々骨密度を測る、といった薬以外の治療を指導されることが多いですが、高齢者や骨量が非常に低い人は骨を強くする生活習慣への改善とともに、骨粗鬆症治療薬による治療が行われます。

精密検査というのは、どのようなことをするのですか 骨粗鬆症の精密検査では、骨密度測定、胸椎・腰椎のX線検査、血液・尿検査などが行われます。15分程度で終わり内視鏡のような苦痛はありません。

背景
(千葉県:65歳女性)先日、町の保健センターで骨密度検査を受けたところ、精密検査が必要と言われ、大学病院を紹介されたのですが、数年前に受けた内視鏡検査の苦しみを思い出し、なかなか足を運ぶことができません。精密検査はどんなことをするのでしょうか。痛みや苦しみがありますか。

市町村が行う骨密度検診では、腕や手、踵(かかと)の骨などの骨密度を測ります。

判定は「正常」、「要指導」、「要精検」の3区分に分かれ、必要に応じて日常生活の指導や医療機関への紹介が行われます。

東京都内の約27,000人について骨密度検診をした結果では、高齢女性で精密検査が必要だったのは約30%で、そのうち約30%が骨粗鬆症でした。骨密度検診では骨量の判定のみで、骨粗鬆症かどうかの確定診断は医療機関の医師によって行われます。骨粗鬆症か否かを診断していただき、骨折のリスクを減らすために、ぜひ精密検査を受けることをお勧めします。

精密検査は、①腰や背中の骨のX線(レントゲン撮影)で行う場合、②X線で腰や太ももの付け根の骨密度を測るDXA法(デキサ法)で行う場合、③両方を併せて行う場合、の3つの方法がありますいずれも5~15分間台の上で休んでいるだけで、胃カメラのような痛みも苦しみもありません。そのほか、血液検査のための採血、尿検査などがなされますが、いずれも苦痛はありません。

X線により脊椎が潰れていたり、骨密度の精密測定で骨密度が若い人に比べて30%以上減っている場合は、骨粗鬆症と診断されます。骨粗鬆症と診断されても、骨を強くする注射や内服薬によって早めに骨密度を増やせば、骨折しにくくなります。ぜひ精密検査を受けてください。

骨検診結果の骨量はどのように受け止めればよいですか 骨検診は医療機関での精密検査とは異なります。簡便に自分の骨の状態を知ることができます。ぜひ受けるようにしましょう。

背景
(東京都:50歳女性)区の保健所から、節目年齢にあたるということで骨検診の通知が届きました。検査では手のレントゲン写真を撮り、骨量測定の結果は後日届くことになっています。骨粗鬆症は腰に症状が現れやすいと聞きましたが、手の骨量については検診結果をどのように理解すれば良いのですか。

「骨量」とは、骨のカルシウム量のことです。厳密には「骨密度」と言いますが、一般的に説明する時は「骨量」と言います。

厚生労働省は健康増進事業の一環として、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳及び70歳の女性を対象として骨粗鬆症検診をするよう各自治体に勧めています。このほか、各自治体や企業が対象者以外の人に対して独自に骨検診を実施している所もあります。

骨量の測定方法にはさまざまな種類があり、それぞれに一長一短がありますが、X線を用いて腰椎や腕の骨密度を測定する「DXA(デキサ)法」、手の骨のX線像の濃さから骨量を計測する「MD(エムディー)法」、踵(かかと)や脛(すね)に超音波を当てて骨量を計測する「超音波法」の3つが広く用いられています。その他、X線CTを用いて腰椎(ようつい)や腕の骨密度を測定するQCT(キューシーティー)測定法もあります。

例えば腰椎の骨密度が0.6g/㎠と0.8g/㎠では、太ももの付け根の骨折の発生率がそれぞれ60%と20%といったように大きく違うことがわかっています。MD法は、その検査結果とDXA法による腰椎の検査結果とは比例しており、全身の病気である骨粗鬆症かどうかを検診により区別できることがわかっています。

骨検診は医療機関での確定診断とは異なりますが、自分の骨の状態を知ることができます。ぜひ受けるようにしましょう。

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