施設訪問してみました!

治療のゴールが見えづらいからこそ、通院したくなる雰囲気作りを心がけています。

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治療のゴールが見えづらいからこそ、通院したくなる雰囲気作りを心がけています。

藤井整形外科 院長 藤井厚司先生

プロフィール

大学卒業後、整形外科専門医として母校の聖マリアンナ医科大学病院や川崎市立多摩病院などに勤務。2021年に、現理事長の藤井壮一先生が開院した藤井整形外科の院長に就任し現在に至っています。「思いやりのある、真心をこめた医療」をモットーに、看護師、理学療法士など総勢40名を超える大所帯で、スタッフと心を一つにして患者さんに向き合い、患者さんとの笑い声が絶えない交流の中で診療が続けられています。「日本一の整形外科を目指します」と夢を語る藤井先生。日々患者さんの満足度を上げる活動に尽力されています。

骨粗鬆症の治療を進める上でのポイントは?

藤井 藤井

骨粗鬆症といっても一律ではないんですね。原因も違えば背景も違う。大別すれば原発性のもの、つまり加齢に伴う骨粗鬆症がある一方で、原因として糖尿病や腎臓の障害あるいはパーキンソン病など様々な疾患に付随して起きるものがあります。この違いによって骨折のリスクも異なりますので、一人ひとりの患者さんに合わせたオーダーメイドの治療がとても大事だと思っています。問診がとても重要で、なかでも患者さんの生活背景を重視しております。その患者さんがご家族と同居しているのか、独居なのか、サポートの有無はあるのか、薬の服用や管理をしっかりできるか、医療費の面、あるいは認知症の程度を含めた自立度なども考慮しながら、薬物治療や理学療法によって最適な治療を組み立てるよう心がけています。

治療の目標をどのように捉えていますか?

藤井 藤井

平均寿命が80歳を超えた日本ですが、介護を必要としない生活ができる、いわゆる健康寿命は男性で約9年、女性で約12年平均寿命より短く、以降は寝たきりや引きこもり状態となってしまいます。そうなる要因として、認知症や脳血管障害と並んで多いのが転倒による骨折で、我々整形外科医はそれを防止することが大きな使命と考えます。ですから骨粗鬆症の治療も最終目標は骨折をさせないこと。そのために骨の強度を上げることを念頭におき、その重要なファクターとして「骨密度」だけでなく「骨質」を評価しながら治療を進めています。また、運動療法では転倒予防体操を積極的に取り入れており、理学療法士がマンツーマンで行っています。その際、例えばパーキンソン病の方は姿勢反射障害で転倒リスクが高くなるので体のバランスをよくみたり、膝や腰が悪くてあまり歩けない方の下肢筋力を評価したりと、患者さんに合わせた対応を行っています。

骨粗鬆症の治療に携わる医師として、患者さんや一般の方に何を伝えたいですか?

藤井 藤井

例えば心臓の調子がおかしいと感じたら、すぐ検査を受けようと思いますね。しかし、骨粗鬆症は自覚症状が少なく、命の危険にも結びつきにくいため、なかなか検査が浸透しない状況があります。先ほど述べた健康寿命を考え、ぜひ骨密度検査を受けて自分の骨を知る機会を増やしてほしいと思います。また、骨粗鬆症は治療の効果が自覚しにくく、そのゴールが見えづらいので、継続が難しいものです。当院では、患者さんが通院したくなるような明るく楽しい雰囲気作りに努め、治療をよくご理解いただけるよう医療提供側も院内勉強会を行ったり、骨粗鬆症マネージャーの資格取得を進めたりしています。患者さんには治療をしっかり続けていただくことで、骨折の防止そして健康寿命を一日でも長く伸ばしてほしい、そう願っています。

病院紹介

藤井整形外科
神奈川県川崎市多摩区登戸2566-1 GranSoleil 2階

1989年開院、2021年移転リニューアル。30余年にわたり、お子さんから高齢の方まで幅広い患者さんに頼られ、親しまれる存在の整形外科クリニック。

参考資料: 厚労省. "図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移: 令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える".
厚生労働省ホームページ.
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html, (accessed 2022-05-24).

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