施設訪問してみました!

体幹の筋力を落としがちな体重コントロールには注意が必要です。

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体幹の筋力を落としがちな体重コントロールには注意が必要です。

八王子脊椎外科クリニック 院長 森俊一先生

プロフィール

大学卒業後、研修先の病院で脊椎外科の高名な専門医に指導を受けたことが、この診療科を専門とするきっかけとなったという森先生。脊椎は運動器であるとともに神経の入れ物であり、より深く人体に関わることができるというイメージを抱き、「神経を診ることに非常に気持ちの高鳴りを覚えた」といいます。勤務医として整形外科の診療を一通り経験した後、脊椎に焦点を絞った診療を実現すべくクリニック開院を決意。以降、骨粗鬆症による骨折を含めた脊椎疾患への手術を多く手がけ、脳外科や神経内科との連携も図りながら診療を進められています。

骨粗鬆症の治療をどのように進められていますか?

森俊一院長

腰痛や頸部痛、手足のしびれなどの症状を訴えて来院される患者さんの場合、年齢や性別、体重、あるいは喫煙や飲酒の有無などによって骨粗鬆症を疑い、骨密度測定を行うようにしています。そのほとんどで骨密度が低くなっていますので、将来の骨折を防ぐという意味合いで治療を開始するようにしています。将来手術が必要になりそうな脊椎疾患の方も多く、そういった手術“予備群”の方は骨粗鬆症が進行すると、将来の治療の選択肢の幅を狭めてしまいますので、それを回避するためにも骨密度や骨質を上げておく治療は重要だと考えます。治療は継続が大切ですから、患者さんのモチベーションを保つために、保険診療で可能な4か月に一度の骨密度測定を行い、結果をお話しするなどの工夫が効果的です。患者さんはそれを楽しみに来院してくださいます。残念ながら数値が下がってしまったら、励まして治療を続けていただいています。あくまで骨密度は指標であり、骨折しないことが重要です。

日常生活の注意点として、骨粗鬆症患者さんにどのようなお話をされていますか?

森俊一院長

よく年配の女性で体重コントロールをなさろうとする方がいらっしゃいます。しかし、これを行うと脂肪より先に筋肉から落ちていくことが多く、その結果、体を支える力を失って、姿勢が悪くなってしまいます。体を横から見た断面を矢状面(しじょうめん)といいますが、姿勢が悪くなった状態は矢状面バランスが崩れて前かがみになり、荷重ラインが前に移動します、すると背骨の前側にある椎体がつぶれて、骨折しやすくなってしまうのです。ご本人はスリムになったと感じても、このような悪い状態を招いていますので、患者さんには体重を下げないようにとお伝えしています。もちろん、糖尿病をお持ちの方には、その治療のための体重コントロールに支障がないよう、その点も含めてお話ししています。また、良い姿勢を維持するために腹筋や背筋のつけ方を説明するとともに、歩行時など日常での姿勢も意識しましょうとお伝えしています。

患者さんの日常での意識が大切ということですね。

森俊一院長

脊椎疾患のために、歩いたり動いたりといったことができなくなっている場合には、最終的に外科的な処置を施すことが多いものですが、手術だけで元の日常生活が送れるようになるとは思っていません。
手術は健康になるための一つのお手伝いであって、生活の仕方に気をつけていただくなど、術後の患者さんの努力なくして良い結果は望めないでしょう。そうして患者さんが回復し、術前よりも健康な日常生活を送れるようになった姿をみることに一番のやりがい、生きがいを感じながら診療にあたっています。

病院紹介

八王子脊椎外科クリニック
東京都八王子市万町173-1

脊椎脊髄外科専門の有床診療所として2013年に開院。2023年秋には、術後ケアを含めた診療の充実を目指して、東京・足立区に博豊会東京脊椎病院を開院予定。

(写真下)2023年秋に開院する博豊会東京脊椎病院

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